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錦川清流線車内で卒業セレモニーが催された=2025年2月28日午後3時6分、山口県岩国市錦町広瀬、鈴木史撮影

 山口県立岩国高校広瀬分校が1日、閉校し、84年の歴史に幕を下ろした。1日の卒業式に先立ち、最後の卒業生12人の門出を祝おうと、生徒が乗り慣れた地元の列車内で「出発式」が催された。

 卒業式の前日、第三セクター錦川鉄道の錦町駅(岩国市)に、地元住民ら60人が集まった。生徒が通学に利用した車両がホームにとまっていた。

 「車窓からの景色は通学する時間を豊かにし、たくさんの思い出を作ることができた」

 卒業生12人を代表して、長畑拓実さん(18)が3年間を振り返った。卒業生は鉄道をモチーフにしたモザイクアートを錦川鉄道に贈り、同社の広田幹社長からは記念品が手渡された。

 広瀬分校は1941年、広瀬農林学校として開校した。戦後、県立広瀬高校と改称。最盛期には500人が通ったという。

 生徒数の減少にともない、2008年度から県立岩国高の分校となった。その後も入学者は増えず、23年度から生徒の募集をとめていた。

 錦川鉄道も、岐路を迎えている。錦川鉄道が運行する錦川清流線は利用者の減少による経営難に陥り、岩国市が鉄道の存廃を議論している。

 今春から、岩国市内に就職するという生徒会会長の柴田結菜さん(18)は「清流線は残って欲しい」と願った。

 「出発式」の最後、地元住民は卒業する12人の名前を一人ずつ読み上げて、エールを送った。

 「ゴーゴー、レッツ・ゴー」

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