和歌山市で2023年、選挙の応援演説に訪れた岸田文雄首相(当時)に向けて自作の爆発物を投げ込んだなどとして、殺人未遂など五つの罪に問われた無職木村隆二被告(26)の控訴審第1回公判が5日、大阪高裁であり、即日結審した。
弁護側は改めて「加害の目的はなく、殺意はなかった」などと主張し、検察側は控訴棄却を求めた。
一審・和歌山地裁判決は、投げ込まれたパイプ爆弾に殺傷能力があったことは構造から常識的にわかり、木村被告は避難を促すこともしていないと指摘。「死んでもかまわない」という未必の殺意があったとして起訴内容を認め、懲役10年(求刑・懲役15年)とし、傷害罪にとどまるという弁護側の主張を退けた。
一審判決によると、木村被告は23年4月15日、演説会場だった和歌山市の雑賀崎(さいかざき)漁港で、兵庫県川西市の自宅などで作ったパイプ爆弾を岸田氏に向けて投げ込んだ。岸田氏にけがはなかったが、会場にいた聴衆と警察官の2人に約1~2週間のけがを負わせた。