岸田文雄首相は14日、約1週間の訪米日程を終え、帰国した。首相はバイデン米大統領との首脳会談で、日米関係をインド太平洋地域を越えた「グローバルなパートナーシップ」と位置づける共同声明に合意し、「蜜月関係」を国内外にアピール。帰国後は自民党派閥の裏金事件などで逆風にさらされる国内政局に再び向き合うことになる。
10日に行われた日米両首脳は会談後、中国への対抗を念頭に、安保、経済、先端技術など幅広い分野での協力を盛り込んだ共同声明を発表した。とくに、安保分野で打ち出された米軍と自衛隊の部隊運用にかかわる「指揮統制」の連携強化は「日米同盟発足以来、最も重要な改善」(バイデン氏)とされ、日米間の安保協力の根幹を変質させる可能性がある。日本側にとっては、有事に自衛隊が米軍の指揮下に事実上入りかねないリスクをはらみ、今後国内で大きな論争になりそうだ。
首相はまた、日本の首相として史上2人目となる米議会上下両院合同会議での演説を11日に行った。既存の国際秩序の維持に努める米国のリーダーシップを手放しで称賛し、「米国は独りではない。日本は米国と共にある」と強調。日本の防衛費の大幅増額や敵基地攻撃能力(反撃能力)保有を紹介しつつ、日本も米国と一緒に国際秩序維持に責任を負う決意を示した。初の日米比首脳会談では、海洋進出を強める中国を念頭に3カ国での連携を確認。12日にはノースカロライナ州に移動し、日本企業による米国内での雇用創出もアピールした。
帰国後の国内政治は課題が山…