訪米中の岸田文雄首相は12日夜(日本時間13日午前)、「(自民党)総裁として政治の信頼回復の先頭に立って努力する」と述べ、自民党派閥の裏金事件を受けた政治資金規正法の改正に全力を尽くす考えを強調した。
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ノースカロライナ州で建設中のトヨタ自動車電池工場予定地などを視察した後、記者団の質問に答えた。
首相は衆院解散総選挙について「政治の信頼回復と経済をはじめとする先送りできない課題に取り組んでいく。今はそれに専念するのみだ」と語った。
首相は政治資金規正法改正をめぐり、議員本人への罰則強化▽外部監査の充実▽デジタル化による透明性の向上――の3点について、党政治刷新本部の作業部会に具体案をとりまとめるよう指示したことに改めて言及。作業部会の鈴木馨祐座長は、党としての独自案をまとめない考えを示しているが、首相は「この3点をポイントとして、政治資金規正法の改正案を自民党としてまとめていくことを考えている」と述べた。
また、首相は離党勧告の処分を受けた安倍派座長の塩谷立・元文部科学相(衆院比例東海)が処分を不服として党に再審査を請求したことについては「外部の有識者も含めた党紀委員会で議論を行い結論を出したものだ」とし、手続きに問題がなかったとの姿勢を強調。再審査請求の取り扱いについては「総務会において、どのように扱うのか判断される」と述べるにとどめたが、党は再審査を認めない方針だ。
首相は記者団の取材に先立ち、ノースカロライナ州で建設中のトヨタ自動車電池工場予定地などを視察した。現地法人の社長らから投資額は約140億ドルであることや、5100人の雇用創出が見込まれていることについて説明を受けた。安全保障分野に限らず、経済分野でも米国に貢献していることをアピールする狙いがある。(ノースカロライナ州ローリー=西村圭史)