Smiley face
自宅の庭で。着ているのは愛用のコムデギャルソンのドレス

 大学院の修士課程が終わるころ、繊維メーカーの帝人に勤めていた友人が病気になってしまい、「かわりに勤めないか」と私に話が来ました。

 服飾評論家・深井晃子さんが半生を振り返る連載「モードの波にのって」。全4回の2回目です。(2024年5~6月に「語る 人生の贈りもの」として掲載した記事を再構成して配信しました)

 《1969年に帝人に入社。ファッション情報の収集や分析が主な仕事だった》

 流行やビジネスの情報を、メーカーや百貨店などに発信していたんです。当時は既製服(プレタポルテ)が発展していく時期。パリやニューヨークからの情報に触れるうちに、ファッションの中心はフランスだと身にしみて感じました。上司に「パリに行かせてください」と言ったら、送り出してくれました。

 71年に1カ月ほどヨーロッパに出張し、各地のファッション事情を見て回りました。初めてのパリは刺激的で日本に帰りたくなかった。まず、どうやって意思統一したのかと思うくらい、街並みが美しいんですもの。その時たまたま、現地で開かれた高田賢三さんのショーに連れて行ってもらったんです。

 《高田さんは65年に渡仏…

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