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ACLEの決勝トーナメントが集中開催されるサウジアラビアに向かうため、Jリーグが用意したチャーター機に乗る川崎フロンターレの脇坂泰斗(左)と横浜F・マリノスの遠野大弥©Jリーグ

 サッカーのアジア・チャンピオンズリーグ・エリート(ACLE)で初めて決勝に進んだ川崎フロンターレ。快進撃を支える一因は、Jリーグからの強力な支援だ。

 準々決勝以降が集中開催されているのは、中東のサウジアラビア。日本からの飛行機の直行便はない。川崎と、同じく8強に残った横浜F・マリノスは今回、同じチャーター機で現地へ移動した。

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 選手の多くがビジネスクラスに乗った便の運航費用、約1億3千万円を負担したのはJリーグだ。2月、日本勢のサウジアラビア行きは決まっていなかったが、全60クラブの同意を得て、支出を決議したという。

 背景には、新形式となった今大会のスケジュールがある。

 準々決勝進出をかけた決勝トーナメント1回戦は3月前半。そこからわずか1カ月半で、選手・スタッフが全員で移動する便を確保するのは困難だった。乗り継ぎをすれば、体調管理に悪影響が出る。そこでJリーグが助け舟を出した。

 川崎の竹内弘明・強化本部長は「肉体的にも、精神的にもありがたい」。DF佐々木旭も「体感では、国内を飛んでいるぐらいの時間で到着した。疲れもほとんどなかった」と感謝した。

 Jリーグは2023年、事業報告書に、10年後にめざす姿を示した。その一つが「アジアで勝ち、世界と戦う」。具体例は、4年に1度となったクラブワールドカップ(W杯)への出場だ。

 現状、クラブW杯の参加チームは32。そこにJリーグから2クラブが参加し、ベスト8以上に入ることを目標としている。クラブW杯に出場するには、ACLEでの優勝が条件となる。

 Jリーグの担当者は、支援の意義をこう説明する。「クラブW杯の出場権を得ることは、Jリーグ全60クラブがめざしていること。勝つために少しでも良いコンディションで移動できる環境をつくった」

 準々決勝で敗退した横浜マも、川崎を後押しした。両クラブはサウジアラビアにそれぞれシェフを帯同し、食材も持参していた。横浜マは、米や納豆、梅干しを川崎に現地で譲り渡したという。

 川崎の主将MF脇坂泰斗は言う。「敗退したマリノスのスタッフが『頑張ってください』と言ってくれて、サプリメントや食事も置いていってくれた。普段はライバルですけど、その思いも背負っている」

 「オールジャパン」態勢で、川崎は初優勝をめざす。

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