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DMG森精機社長 森雅彦(もり・まさひこ) 1961年生まれ。奈良県出身。京都大工学部卒業後、伊藤忠商事を経て、93年に入社。企画管理室長兼国際部長や専務を経て、99年から現職。2003年に東京大工学博士号取得=京都市中京区

 製造業では、人手不足などの対策に、さまざまな種類の加工を1台で担う工作機械をとり入れて生産効率を高める「工程集約」が進みつつあります。工作機械メーカー世界大手、DMG森精機の森雅彦社長は、製造現場の変化には、なお課題があると指摘しています。日本のものづくりの将来を左右する問題意識を聞きました。

 ――製造現場では工程集約や自動化など、さまざまな課題の解決策があります。DMG森精機では奈良事業所(奈良県大和郡山市)で、4月に世界最大級の自動化された工作機械の生産工場を稼働させました。

 「世界中の生産設備は平均で25年ほど経っていると言われています。最新の工作機械は当時の電話と今のスマートフォンほどの違いがあり、最新のものを導入すれば、5台の機械を1台に集約でき、5人が必要な作業も1人で済みます。(硬くてもろい)セラミックスといった難しい素材の加工で、超音波を当てながら切削する機械を使うと、10時間かかっていた作業が30分で済むこともあります。人手不足はそれで解決しますよ」

 「日本の人口が1億2千万人から7千万人になったとしても、生産性を倍にすればいい。GDP(国内総生産)を維持できれば、給料も倍になるでしょう。人口が減っている今こそ、チャンスです」

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大規模な自動化システムの工場を設けたDMG森精機奈良事業所=奈良県大和郡山市、同社提供

 ――なぜ25年前の機械がまだ現役で動いているのでしょうか。

 「機械もリタイアしないけど…

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