(24日、第154回九州地区高校野球大会準々決勝 明豊3―1佐賀北)互いに譲らぬ投手戦の緊迫した空気を打ち破る明豊の1番打者、芦内澄空(そら)の一発だった。
1―1の同点に追いつかれた直後の七回裏、先頭打者のエース野田皇志が死球。痛がりながらも一塁へ走る。犠打で1死二塁。ここで芦内が打席に入る。「野田もがんばっている。死球も受けたし、ここで点を取ってあげないと」
それまでの3打席は相手投手の変則の横手投げから繰り出す直球とスライダーのコンビネーションに手を焼いた。「スライダーに絞ろう」と決めて待った2球目。そのスライダーを強振した。
「飛距離は十分だと思った。あとは風に流されずにポールをまいてくれと」。右翼から左翼方向に強い風が吹いていた。しかし、打球は願い通り、ポールの内側ぎりぎりに飛び込んだ。生還し、先にホームを踏んだ野田と喜び合った。
今春の選抜までは、打順は5番か6番。しかし、長打を狙い過ぎて結果が出ない。川崎絢平監督は選抜後、1番に置いた。長打を狙わずチーム打撃、出塁を意識させるためだ。芦内自身も「とにかく塁に出ようと意識している」と話す。すると、なぜか1回戦のエナジックスポーツ(沖縄)戦で三塁打を放ち、この日は本塁打と長打が出るように。「出塁を意識していれば、ああいう長打が出るのが芦内」と川崎監督。
準決勝の相手は鹿児島実に決まった。「いい投手がいるので手ごわい相手。野田を助けられるように打撃陣が1巡目でがんばりたい」と話した。(酒瀬川亮介)