人形の操り方を教わる家族連れ=2024年8月25日午後1時30分、大分県中津市、貞松慎二郎撮影

 大分県内で唯一、中津市北原(きたばる)地区に伝承されている人形浄瑠璃で、鎌倉時代が起源とされる「北原人形芝居」(県指定無形民俗文化財)の体験イベントが25日、市歴史博物館であった。家族連れら十数人が参加し、保存会の手ほどきを受けながら、巧みに動かす人形遣いに挑戦した。

 1体の人形を3人で動かすのが基本で、中心となる「主(おも)遣い」は頭と右手を動かす。保存会のメンバーは参加者に対し、足が付いていない女方(おんながた)の人形は動きで足があるように見せることや、クジラのひげを人形のバネ代わりに使っていることなどを解説した。

 参加者はグループに分かれて人形を動かしてみたが、5キロ前後ある人形を持っているとしだいに手が下がってくる。別府市から娘3人と一緒に家族で参加した三谷由起子さん(41)は「すごく重くて、なめらかな動きにするのは難しかった」。

 保存会は毎年2月の第1日曜日に、北原地区の原田神社で開催される「万年願」と呼ばれる無病息災を祈る祭りで奉納する。人形芝居を教わっている地元の三保小学校人形劇クラブの児童も出演する。

保存会の会員は25人。吉田隆博会長(75)は九州各県にある同種の保存会の活動が尻すぼみになっているとし、古典芸能の継承に向けて「興味を持ってもらうのが一番」と語った。(貞松慎二郎)

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