リーグ優勝を決め、胴上げされる巨人の阿部慎之助監督=林敏行撮影

 (28日、プロ野球 読売ジャイアンツ8―1広島東洋カープ)

 4球団が小差でひしめき争ってきた、今季のセ・リーグ。その激戦に終止符を打ったのは、巨人の3、4番だった。

  • 長嶋茂雄氏が最後に育てた新人 阿部監督が23年前から受け継ぐ思い

 同点の六回先頭。吉川はファウルで粘り、この試合3安打目となる左前打で出塁した。続く岡本和は、外角へ逃げる変化球をしぶとく両腕を伸ばして捉え、左中間への勝ち越し適時二塁打に。広島先発の森下暢仁を3巡目で攻略した。

 ダメ押し点もこの2人。七回1死二塁からも連打で得点につなげた。ともに4安打の大暴れで、4年ぶりのリーグ優勝を決定づける働きだった。

 「結果的にああいう形で塁に出られて良かった」と3得点の吉川が振り返れば、「いい形で後ろにつなぐ気持ち」で打席に入ったという3打点の岡本和。ここまで、ともに今季は141試合に先発出場し、巨人打線を背負ってきたと言っていい。

 苦しめられてきた「鬼門」での胴上げ。巨人はマツダスタジアムでの今季最終戦に勝利し、この球場で11年ぶりの勝ち越し。シーズンを戦ううえで、苦手球場の克服は大きい。嫌なイメージを持たない新しい主軸が増えてきた証しでもある。

 接戦のペナントレースを勝ち抜いた選手たちをねぎらうように、阿部慎之助監督は目頭を熱くし、「苦しい(苦しんだ)チームが勝つというのはこういうことだなと実感できました」。

 その辛苦をともに乗り越えた仲間たちの手で、現役時代の背番号と同じ10度、宙に舞った。(福角元伸)

共有
Exit mobile version