来年創立150周年を迎える神戸女学院(兵庫県西宮市岡田山)が、大学図書館本館で記念展「神戸女学院のヴォーリズ建築」を開いている。戦禍や震災を乗り越えてきた学舎や学院の歩みを紹介している。
神戸女学院は1875年、米国の宣教師が神戸に女子寄宿学校を創立したのが始まり。1933年、現在地に移転した。
米国人建築家ウィリアム・メレル・ヴォーリズが設計した12棟は2014年、国の重要文化財に指定された。
展示では、各棟の建築図面や完成予想図、柱頭や玄関扉などの詳細図など約120点を展示。パネルや写真などの資料で展示品にまつわるエピソードを解説している。
太平洋戦争突入後は金属供出のため、正門の扉や文学館と理学館のバルコニー、外灯などが失われた。
両館の玄関扉上部に施された金属製の窓飾りも供出されたが、その後職員が、残された型をもとにヴォーリズの唐草意匠をベニヤ板で複製。それが現在も使われている。期間中開放される中庭から見ることができる。
1995年に起きた阪神・淡路大震災では、学生寮などヴォーリズ建築5棟のほか、中高部校舎や研究室が入る建物などが被災し、取り壊された。
講堂のパイプオルガンも壊れてバラバラになったが、音楽学部の卒業生らの協力で再生。地震でひしゃげたパイプとともに当時の様子を伝える。
図書館長で大学文学部の藏中さやか教授は「ヴォーリズ博士の建築を通し、150年を迎えてさらに未来へとつながりゆく神戸女学院の姿を広くお伝えできれば」と語る。
観覧は事前予約制。21日、28日、7月5日の午前11時~午後4時。無料。希望者は同図書館ホームページ(https://kclib.kobe-c.ac.jp)で申し込む。問い合わせは同図書館(0798・51・8565)。(真常法彦)