主将の川辺謙信(左端)ら市和歌山の選手たち=2024年10月27日、ほっともっと神戸、大坂尚子撮影

 (27日、高校野球 秋季近畿大会準々決勝 市和歌山10―0立命館宇治)

 勝利を確信させる一発だった。

 市和歌山の川辺謙信(2年)は「あんまり記憶がないんです。でも、入るやろと思ってました」。

 8点リードの六回1死走者なし。1ボールから直球をフルスイングすると、滞空時間の長い打球はフェンスを越えた。会心の当たりで、京都王者を突き放した。

 打線は計17安打10得点で六回コールド勝ち。半田真一監督は素直に喜んだ。「こんな試合を見たのは初めて。この一戦にかける、勝たなければいけない気持ちはすごく伝わってたので、やってくれるのかなという期待感はあった」

 その中でも川辺は4打数4安打3打点と絶好調。主将で捕手の川辺について、監督は「うちは川辺のチーム。彼のテンションに左右される。彼が元気やったらチームは元気なんで」。その川辺は「昨日は10時間くらい睡眠を取った。夜7時に寝て、朝5時に起きた。目、ばっちりです」と笑った。

 チームは秋の県大会では準決勝で敗れたが、3位決定戦で競り勝って近畿大会への出場権をつかんだ。

 初戦で三田学園(兵庫3位)に1―0で辛勝すると、この日は大勝した。選抜大会の近畿地区の一般選考枠は6。4強入りを決めた市和歌山は、2022年以来の出場をほぼ確実にした。

 「今までやってきたことが報われてよかった」と川辺。3位で滑り込んだ近畿大会の頂点へ。「下克上」となるか。(室田賢)

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