若年層を中心に広がる市販薬の過剰摂取(オーバードーズ=OD)への対策として、市販薬の販売規制の強化に向けた詰めの議論が厚生労働省で進んでいる。薬を売りづらくなる業界側から反発があり、当初の案から後退した部分も。現場からは対応の難しさを指摘する声があがっている。
薬局やドラッグストアで医師の処方箋(せん)なしに購入できる市販のせき止めやかぜ薬には、依存性のある成分を含むものがある。国はコデインなど六つの成分を含む製品を「乱用のおそれのある医薬品」に指定し、販売は原則1人一つというルールを設けている。
ただ、現場は対応に苦心している。
東京都中央区にある越前堀薬局では、せき止めやかぜ薬をレジ奥の棚に陳列し、複数個の販売はしていない。明らかに未成年者の場合は購入理由を尋ねている。
実際、毎日せき止めを買い求める客がいた。3日目ぐらいで気づき、薬の説明をしようとしたが取り合ってもらえず、売り切れということにした。それでも、「まだ入らないんですか」と何度も聞きに来たという。
店長の犬伏洋夫さん(48)は「お客さんの顔をおぼえられる規模の薬局だから対応できる」としつつ、「一つの薬局でがんばっても、他の薬局で買い回られたら意味がない」と話す。「(客から)『ここでしか買っていない』『ほかに飲んでいる薬はない』と言われたら、本当ですか?とは言えません」
厚労省が昨年度実施した調査では、乱用のおそれのある医薬品の販売ルールは必ずしも守られていないことが明らかになっている。約2割の店舗で、店員に質問されることなく複数個を購入できる状況だった。
厚労省は対策を徹底しようと…