国立がん研究センター=東京都中央区

 患者数が10万人に6人未満という「希少がん」について新たな分類方法を策定したと、国立がん研究センターが10日、発表した。国内で診断されたがんの20%が該当するという。従来の分類から、最新の実態に即した分類にできたことで、今後の希少がん対策に役立つ可能性がある。

 希少がんは、年間の罹患(りかん)率が人口10万人あたり6人未満のがんの総称。珍しいがんであるがゆえに、診断の遅れや誤り、治療法の選択肢が少ないなどの課題がある。

 希少がんは、これまでは欧州の分類方法をもとに、約190種類あるとされてきた。だが、この分類方法は2015年からアップデートされていないことや、基準にあいまいさもあることから、国立がん研究センターが最新の報告などをもとに新たな分類方法を検討していた。

 新たに作成した分類方法をもとに、16~19年に診断されたがんを分析したところ、臓器別で見ると、小腸や中咽頭(いんとう)など31種類の臓器のがんが希少がんに当てはまった。がんが多い臓器でも、腫瘍(しゅよう)のタイプで見ると希少なものがあり、胃のGIST(消化管間質腫瘍)など364種類が当てはまった。希少がんはがん全体の20%を占めることもわかった。

 また、従来の分類では希少がんではなかったが、新たな分類で希少がんと定義されたのは5.7%だった。例えば、新たに独立した臓器として分類された虫垂のがんなどがある。

 国立がん研究センター中央病院希少がんセンターの川井章センター長は、「分類をクリアにできたことで、今後、希少がん対策をぶれずに進めることができるのではないか」と話した。

 新たな分類は国立がん研究センターのサイトで見ることができる(https://www.ncc.go.jp/jp/rcc/Seminar_event/NCRC/index.html)。

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