第103回全国高校サッカー選手権大会は28日、東京・国立競技場で開幕戦があり、15大会ぶり出場の帝京(東京B)が京都橘に2―1で競り勝った。同点に追いつかれた直後の後半35分、速攻からFW宮本が決勝点を決めた。
大会は48校が出場。29日は首都圏8会場で1回戦の残り15試合がある。決勝は来年1月13日、国立競技場で行われる。
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パスサッカーへ変貌
国立競技場の試合はドラマチックになる。
帝京の藤倉監督は、選手たちにそう伝えていた。26大会前、主将として選手権で準優勝し、指導者として戻ってきた舞台。予感は当たった。劇的な展開は試合終了間際。同点に追いつかれた2分後だった。
MF砂押がピッチの中央付近で相手からボールを奪う。すかさず、前線で走り出す味方へ狙い澄ましたパス。こぼれ球を拾ったFW森田がつなぎ、FW宮本が右隅へ流し込んだ。「やってきたことが大舞台で表れた」と砂押は誇った。
練習時間の多くはパスと実戦。徹底的に走り込み、体の強さを押し出すかつてのスタイルから様変わりした。2015年に就任した前監督が志向したパスサッカー。森田は「うまくて、相手を支配するサッカーにあこがれて入部した」という。
伝統の黄色いユニホームの胸には、九つの赤い星。全国高校総体と選手権での優勝回数だ。スタイルは変わっても、選手たちには重圧がつきまとっていた。今年就任した藤倉監督はこう呼びかけた。「勝利は、義務ではなく欲求だ」。過去の栄光は関係ない。ただ、勝ちたい。そんな選手たちの純粋な思いが、17大会ぶりの選手権勝利を引き寄せた。
京都橘
米沢監督(京) 同点直後に勝ち越しゴールを浴びる。「後半途中に3バックに変えて、そのサイドを突かれて戻りきれなかった。システム上の問題があった」