古代ローマの神殿のような円柱が70本並ぶ。全長は400メートルを超え、半アーチ状の屋根がかかる。「最北の神殿」とたとえられることもある。

 日本の最北端・北海道稚内(わっかない)市にある「北防波堤ドーム」。古代ではなく、1936年にできた。

「最北の神殿」とも呼ばれる稚内港北防波堤ドーム=2025年7月2日、北海道稚内市、加藤丈朗撮影

【撮影ワンポイント】「最北の神殿」北防波堤ドーム

印象的な柱と天井を持つ巨大な構造物なので、どのように撮影しても絵になる。広角レンズで仰ぎ見るように撮ればアーチの曲線美を強調できる。望遠レンズを使えば、特徴的な柱をリズミカルに構成できる。朝の柔らかい光が、天井の質感を浮かび上がらせるタイミングで撮影した。(加藤丈朗)

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「最北の神殿」とも呼ばれる稚内港北防波堤ドーム=2025年6月30日、北海道稚内市、加藤丈朗撮影

 建設のきっかけは、宗谷海峡を挟んで稚内市から約40キロのサハリン島。現在はロシアが実効支配しているが、北緯50度以南は1905年から日本領で、「樺太(からふと)庁」があった。

 23年、稚内と樺太・大泊(おおどまり)(現コルサコフ)を結ぶ連絡船が就航する。ただ、当時の駅から船の桟橋までは遠く不便だった。強風でも雪でも2キロほど歩き、渡し船で連絡船に乗った。

 そこで、国家プロジェクトとして「駅」と「船乗り場」の二つを兼ね備えたターミナルの建設が決まる。

 国は5年かけて北防波堤ドー…

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