長崎原爆の犠牲者らの名前を死没者名簿に記す「筆耕」が5日、長崎市役所で始まった。昨年8月から今年7月末までに亡くなった人や、新たに判明した死没者の名前を加え、8月9日の平和祈念式典で納められる。
筆耕を担当するのは、被爆2世で書道講師の森田孝子さん(77)。今年で24年目で、これまでに母や父の名前も記してきた。亡くなった人の名前が記された資料をじっと見つめたあと、ゆっくりと筆をとった。森田さんは「今年、被爆から80年を迎える。毎年、ご高齢の方がたくさん亡くなるが、今まで判明していなかった小さな赤ちゃんの死亡の日時が分かることもあり、心が痛む」と語った。
名簿は昨年8月時点で19万8890人分ある。今年は約3300人分を新たに記し、計206冊になる予定という。名簿には名前が分からない犠牲者を悼む無記名の1冊も含まれる。