広島市が2024年に、イスラエル宛てに送った平和記念式典の招待状の控え=2025年4月4日午後8時18分、大阪市北区、魚住あかり撮影

 広島市は11日、今年の8月6日に開く平和記念式典について、各国代表を「招待」するのではなく、開催を「通知」する案内状を広く送る形に変更すると明らかにした。紛争国かなどを問わず、ウクライナ戦争以降は招いていなかったロシアとベラルーシにも案内状を送るという。国際情勢に左右されず、世界に被爆の実相を知ってもらうことをめざす。

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 式典を巡っては、広島市は2022年にウクライナ戦争が起きた当初はロシアも招く方針だったが、外務省から「政府の姿勢について誤解を招く」との見解が示され、22~24年は招待を見送った。一方で、24年にはパレスチナ自治区ガザへの攻撃を続けるイスラエルを招き、被爆者団体などから「ダブルスタンダード(二重基準)」だと批判された。対照的に長崎市は8月9日の式典にイスラエルを招かず、米英などの大使が欠席し、物議を醸した。こうした経緯から、広島市は昨夏以降、招待方法の見直しを検討していた。

 市幹部によると、今回は計195カ国・地域に案内状を送ることにしたという。国連加盟国と、日本に大使館や代表部を置く国・地域で、ロシアやベラルーシに加え、これまで対象になっていなかったパレスチナも含まれる。

 広島市の松井一実市長は11日の会見で「ダブルスタンダードじゃないかという議論が起こったので、(式典参列の)要請方法を改める、すなわち式典の原点に立ち返るということをやろうと考えた」と述べた。

 5月下旬ごろに発送する案内状では、二度と被爆者と同じ思いを誰にもさせないために平和を求める「ヒロシマの心」を理解したうえで参列するよう求めるという。

 広島市は元々、核保有国を招…

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