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ノーベル平和賞受賞の喜びを語る金本弘さん(左)と大村義則さん=2024年12月4日、愛知県庁、国方萌乃撮影
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 日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)へのノーベル平和賞の授賞式に先立ち、愛知県内から代表団に加わっている金本弘・代表理事(80)=名古屋市守山区=と、サポート役で同行する大村義則・日本被団協被爆二世委員会副会長(68)=碧南市=が4日、県庁で会見し、被爆証言の持つ力が認められた喜びを語った。

 金本さんは生後9カ月のときに広島で被爆した。12歳年上の姉は左半身に残るケロイドを隠すため、夏でも長袖長ズボンだった。出産を周囲に反対されていた。自分や家族を苦しめた被爆の実態を10年ほど前から証言し続けている。

 ノーベル委員会は、日本被団協が「核兵器が二度と使われてはならないことを証言を通じて示してきたこと」を授賞理由に挙げる。

 金本さんは「多くの証言をして、それを聞いてくれた多くの人たちの力が一つになったとき、世界が動くんだと確信を持った」と喜びを語った。

 ただ、被爆体験を語ることには苦しさもある。大村さんの父は長崎で被爆したが、戦後50年の節目までそのことを一切口にしなかったという。大村さんは「被爆のことを語ると、強烈な記憶が戻ってくる。父は『においが戻ってくる』という言い方をしていた。恐ろしくて語れなかったんでしょう」。金本さんも「私たちは『知られたくない』『でも知ってもらいたい』と悩みながら、苦しみながら証言してきた」と語った。

 こうして続けてきた運動を、どう継承していくかが今後の課題だ。大村さんは「受賞を機にさらに世界に発信し、若い世代に知ってもらいたい」と力を込めた。

 授賞式は10日、ノルウェー・オスロである。

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