平安京朝堂院の南面正門だった応天門が縮小復元されている=京都市左京区、平野圭祐撮影

 平安神宮(京都市左京区)は明治時代の1895年、平安遷都1100年を記念し創建された。国内最大級の流造(ながれづくり)の本殿には、平安時代最初の第50代桓武(かんむ)天皇、幕末に即位した第121代孝明(こうめい)天皇が鎮座し、平安京の始まりと終わりを見つめた2人の天皇がまつられている。平安時代から明治維新までの歴史上の人物に扮した京都市民2千人が秋の都大路を練り歩く「時代祭」でも知られている。

 社殿は、天皇の即位礼など国家の重要儀式が行われた平安京の朝堂院が約8分の5の規模で再現され、朱色が鮮やかな大極殿(だいごくでん)、応天門、蒼龍楼(そうりゅうろう)、白虎楼(びゃっころう)(いずれも国重要文化財)などがある。

 その社殿を取り囲むように、国の名勝に指定された広大な池泉回遊式庭園の神苑(しんえん)がある。南、西、中、東の順路で四つエリアがあり、趣が異なる。数多くの名園を残した造園家・7代目小川治兵衛が創建に合わせて西神苑、中神苑を造り、後の大正時代初めに東神苑を完成させた。南神苑と東神苑の南側は、「昭和の小堀遠州」と呼ばれた造園家の中根金作が手がけた。

 中神苑の見どころは、蒼龍池…

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