宮沢喜一首相の私邸につめかける石破茂氏ら「政治改革を実現する若手議員の会」の議員たち=1993年6月14日

 石破政権下で初の通常国会が始まった。自民党派閥の裏金問題を受けた政治改革は、昨年の通常国会に続き、衆院選後の少数与党下の臨時国会でも、抜本的には実現しなかった。企業・団体献金は3月まで結論を先送り。設置する「政治資金監視委員会」の監視対象は国会議員関係政治団体のみで、東京都議会自民会派の裏金問題がすでに臨時国会中に発覚していたにもかかわらず地方の団体は対象外。3度目の今国会こそ「政治改革国会」とすべきであり、政治資金規正法の「再々改正」が求められている。

 そう考えながら正月明けの8日、30年前の「平成の政治改革」を民間政治臨調から提言した佐々木毅・元東大総長を、石破政権になってから初めて取材した。同氏が副会長を務める日本生産性本部の年頭記者会見でのこと。私が政治資金改革で求めることを質問したのに対し、佐々木氏は「とりまとめを速やかにお願いしたい」と答えた。続けて「(石破茂)総理も他の党もリーダーシップ(の発揮)を」と求め、「先送りするのは許されないことだ」と強調。「きちんと成果を出していただくことが、一番いま大事な点ではないか」と重ねて声を振り絞った。私にとっては大学時代の恩師でもあり、今は82歳になっている。

 佐々木氏と石破氏は、平成の政治改革をそれぞれ民間と若手議員の立場から求めた間柄だ。リクルート事件後、海部政権だった1989(平成元)年末、自民党内で当選1回だった石破氏や渡海紀三朗氏、武村正義氏らの「ユートピア政治研究会」が、「永田町下級武士たちの決起」と題する本を出し、政治改革を主張した。佐々木氏はこの経緯を念頭に、一昨年末の自民裏金問題の発覚直後、私の取材に対し、かつての「永田町下級武士」のように声を上げる若手議員がいなくなったと嘆いていた。

 平成の政治改革では、宮沢政…

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