【遊ばない子どもたち】
遊びのような運動も含めて、体をほとんど動かさない子どもや、スポーツをしない子どもが増え続けている。新型コロナウイルスの感染対策による行動制限がなくなったあとも、その傾向が続いているというデータもある。こどもの日に合わせて、現状を探った。
- 【推移グラフ】23種の活動を比較 外国語やパソコンは増、水泳4割以上減、野球も減 他の種目や遊びは?
運動遊びやスポーツをしない子どもの割合は、30年ほど前から増える傾向にある。
総務省の社会生活基本調査で年に1日でもスポーツをしたと答えた割合(行動者率)は、10~14歳では1996年は97・3%だったが、2021年は86・3%と11・0ポイント減った。15~19歳は、93・6%(1986年)から76・8%(2021年)に。21年は、10代前半の推定人口約534万人のうち約73万人が、10代後半の同約555万人のうち約129万人が、授業以外で1年間にほぼスポーツをしなかったことになる。コロナ禍前の16年調査では、10代前半の約54万人、10代後半の約120万人がスポーツをしていなかった。
スポーツの種目ごとの行動者率は、水泳(遊びのプールや海水浴も含む)、野球(キャッチボールを含む)、ソフトボールなどで減少傾向が続く。サッカー(フットサルを含む)、バスケットボールは漫画やプロの影響で流行した1980年代や90年代の行動者率が2000年代よりおおむね高い。
1996年と2021年の調査を比べてみると、10~14歳では、野球(キャッチボールを含む)が40・2%から21・1%と19・1ポイント減少。バスケットボールは28・6ポイント減(21年調査20・1%)。水泳は42・8ポイントも減っていた(同27・9%)。15~19歳では、野球が11・3ポイント減(同14・6%)。水泳が29・0ポイント減(同7・6%)、バレーボールが16・8ポイント減(同18・1%)だった。
年に1日でも活動すれば行動者に数えられることを考えると、遊びの中でスポーツをする子が減っていることがうかがえる。
一方、全体的に増えていたのは、学習や自己啓発などの活動に取り組んだ子どもの割合だ。
10~14歳では、96年の31・9%から21年には55・6%と23・7ポイント増加。15~19歳は、14・3ポイント増えていた(21年調査52・9%)。
主には「外国語」が10~14歳で20・8ポイント(同43・4%)、15~19歳で14・7ポイント(同40・1%)それぞれ増加。音楽や書道、絵画といった「芸術・文化」は、10~14歳が10・4ポイント(同18・2%)、15~19歳が7・2ポイント(同18・4%)増えた。
そのほか資料作成やプログラミングといった「パソコンなどの情報処理」が、項目に挙げられるようになった01年と比べて10~14歳が7・5ポイント増(同17・9%)、15~19歳が4・9ポイント増(同23・3%)だった。
こうした調査結果について、総務省統計局の担当者は「近年は新型コロナウイルスの影響も考えられるが、スポーツに励むよりも、将来を見据えて学習や自己啓発に向かう子どもが増えている傾向はあるかもしれない」と語った。(佐藤祐生)
社会生活基本調査 国民がどんな活動をしたかを把握するための統計。スポーツや自己啓発などを1年間で行ったかどうかや頻度などを聞いている。学校の授業はのぞく。昼休みや、部活動など放課後の活動は含める。スポーツには、運動を伴う遊び、散歩、釣りも含む。行動者率は、人口に占める、何らかの活動をした人の割合。趣味やボランティアなどの統計もある。
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体を動かす遊びやスポーツをしない子どもが増えています。どんな背景事情があるのか、探ります。お子さんや保護者らの体験談やご意見を[email protected]までお寄せください。