本を読んで生きている
和歌山市の中心商店街「ぶらくり丁」かいわいに、本好きをうならせる選書で評判の書店「本町文化堂」があります。店舗2階にはイベントスペースを併設し、近くのミニシアターとタッグを組んで映画上映会や講演会なども催しています。店主の嶋田詔太さんが、オススメの本を通じて日常をつづります。
外間守善「沖縄の食文化」
冬至(トゥンジー)の頃、最初の寒さがやって来る。トゥンジービーサ(冬至の寒さ)という。冬至になると母はトゥンジージューシーを作ってくれた。豚肉、蒲鉾、生姜の葉を炊き込み、食べる時には薄切りにした田芋をのせる。
沖縄出張帰りのお客さんからお土産に「イカ墨じゅーしぃの素」というものをいただいた。彼いわく「じゅーしぃ」とは沖縄では定番の炊き込みご飯のことで、いざレトルトパックの中身を白米と混ぜて釜で炊くと、イカ墨で黒く染まった炊き込みご飯が出来上がった。具にはタケノコやシイタケといった野菜のほか豚の脂身なども入っていて、イカ墨のコクが染み、豚の脂でシットリとなった米がおいしい。
琉球文化研究の第一人者、外…