コンテンツ編成本部デスク 吉村千彰
■三つ集めて、前文がビシッと決まれば
「錯綜(さくそう)する大量の情報のどれが正しくて、どれが誤っているのか、俺たちは選択できているのか?」。伊坂幸太郎さんの小説「魔王」の主人公の言葉だ。常に「考えろ考えろ」と考えている主人公につられて、私も考えた。どうやったら記事にできるか。
昔話で恐縮だが、世の現象を書きたいなら「三つ集めろ」と先輩から教えられた。「魔王」が発表された2004年末頃、三崎亜記さんの「となり町戦争」とウクライナの作家アンドレイ・クルコフの「ペンギンの憂鬱(ゆううつ)」も話題になっていた。どれも不条理な社会を隠喩的に映し出していると思った。三つ集まった。
01年、米で同時多発テロ事件があり、為政者は「テロとの戦い」を口にした。03年、大量破壊兵器があるという理由(結局、大量破壊兵器は見つからなかった)でイラク戦争が始まる。小泉政権下で、日本の自衛隊も現地に派遣された。反対はあったが、大きなうねりにはならなかった。その後に世に出た3作だった。
(取り上げた文章へのリンクが文末にあります)
話は変わるが、「前文(まえ…