昨年分の寄付によって、納める税額がいくら下がるか。ふるさと納税をした人は、5月下旬から6月に届く住民税の決定通知書で確かめられます。ふるさと納税で住民税が差し引かれる人は今や1千万人と、納税義務者の6人に1人。漢字と数字がびっしりの書類ですが、多くの人が見落とせない内容が詰まっています。
連載「Sundayマネー」
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ふるさと納税は、好きな自治体に寄付すると、自分の住所地へ納める税金が引かれる(控除される)制度。控除上限額は年収や家族構成によって違う。ふるさと納税サイトなどで簡単にわかり、その範囲内で寄付する人が多い。
通知書を見ると、寄付した額と控除額が見合っているかを確かめられる。会社員ら多くの人は5月末ごろ、圧着式の小さな紙を勤め先から受けとるはず。2024年度から電子化も始まった。住所地の市区町村が発行しており、注目する欄は税額控除額=図⑤だ。
ふるさと納税の控除額はここに含まれる。寄付額と大きく違う場合、いくつか理由が考えられる。
一つは確定申告者のケース。住民税以外に所得税からも引かれ、二つを合わせて見る必要がある。
確定申告をしない会社員らで、寄付先が5自治体までの「ワンストップ特例」を使った人は、全額が住民税から引かれる。⑤の額と寄付額が大きく違うと、特例申請の手続きミスなどがありうる。
⑤の欄は住宅ローン控除額なども合算される。自治体によっては通知書の摘要欄に、ふるさと納税分を「寄付金税額控除額」などと個別に書いてあり、要チェックだ。
住民税は地域社会の会費と言われる。市区町村分と都道府県分があり、税率は計10%。税額控除前所得割額=図④は、税金計算のもととなる総所得=図③に10%をかけて算出される。
給与に応じて変わる所得割額=図⑥のほか、一律に数千円の均等割額=図⑦がある。
森林環境税額=図⑧は国の税金だが、住民税と一緒に徴収。森を守る費用として、林業で働く人の数などに応じて自治体へ配分される。会社員らは⑥⑦⑧を合わせた特別徴収税額=図⑨が、6月以降に給与から引かれる。
■「高所得者ほど恩恵」の指摘…