東京理科大名誉教授の柏﨑敏義さん=本人提供

 もうすぐ新年度。国や自治体の会計、学校でも新たな1年がスタートします。でも、暦の上では1年の始まりは1月。なぜ日本の年度は4月から始まるのでしょうか。会計年度の起源を調べた柏﨑敏義・東京理科大名誉教授(憲法学)に聞きました。

使ってしまった酒造税

 日本に会計年度ができたのは明治時代ですが、4月~翌年3月という今の形になるまでに実は何回か変わっています。最初は10月~翌年9月、次は1月~12月、その次は7月~翌年6月です。それぞれ、「地租など実際の金銭や穀物の出納に合わない」「太陽暦が採用された」などの理由で変更されました。

 今の会計年度になったのは、明治19年(1886年)です。ことの始まりは、その2年前。当時は軍備増強に膨大な予算が必要で、政府にとって、どうお金を工面するかは頭の痛い問題でした。そこで、1年に何回かに分けて入ってくる酒造税に目をつけ、使いました。しかし、よく収支を計算してみると、翌年度分の酒造税を使ってしまっていたのです。

 当時の大蔵卿だった松方正義…

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