公的年金の見通しをチェックする財政検証に向け、厚生労働省は12日、検証作業の基礎となる「経済前提」の案を公表した。同日開催される社会保障審議会(厚労相の諮問機関)の専門委員会に示し、決定する。5年前の財政検証の時より二つ少ない四つのケースを設定し、実質賃金上昇率を幅広に設定したのが特徴だ。
年金財政検証は5年に1度、100年先までの公的年金の財政収支や給付水準を見通すために実施し、今夏に結果が公表される予定。少子高齢化が進む中でも、必要な年金を確保するため、どのような制度改革が必要かを議論する土台となる。
検証には、年金の受給者や保険料を払う働き手の将来的な増減に加えて、経済成長率や賃金増加率、積立金の運用利回りなどの経済前提が必要で、専門家が2022年から議論を重ねてきた。
「1人当たりゼロ成長ケース」も
今年2月に内閣府が初めて公…