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 先日公表された公的年金の財政検証では、女性や高齢者の労働参加の広がりを背景に、将来の年金給付の見通しが改善しました。ただ、検証が仮定したのは、人口の約1割を外国人が占める社会です。想定通りになるかは分かりません。

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 財政検証は、国立社会保障・人口問題研究所が昨年に公表した日本の将来推計人口がベースだ。年間16万4千人の入国超過が続き、2070年には人口の1割が外国人になると想定している。実際、22年には19万1千人、23年には24万人と推計を上回る入国超過が続く。一方、前回(19年)の財政検証で入国超過の仮定は年間7万人だった。見通しを下回れば年金財政にはマイナスに働く。

 平均的な会社員と配偶者の「モデル世帯」の年金受取額が、現役世代の手取り収入に対してどれくらいの割合かを示す「所得代替率」は、労働参加がさらに進んだ「成長型経済移行・継続ケース」で57.6%。入国超過が6.9万人の場合は、1ポイント減の56.6%になる。労働参加が緩やかで賃金上昇も小幅にとどまる「過去30年投影ケース」では、50.4%から2.7ポイント減の47.7%に下落する。

 日本の出生率はすでに想定を下回っている。外国人の入国超過は人口減少の緩和につながるが、見込みに達しない可能性もある。

 武見敬三厚生労働相は「一般…

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