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国内で初めて発射された自衛隊の88式地対艦ミサイル=2025年6月24日午後0時28分、北海道新ひだか町、加藤丈朗撮影

 地上から海上の艦船を攻撃する国内初の演習が実行された。24日、新ひだか町の陸上自衛隊静内対空射撃場で発射された「地対艦ミサイル」。地元自治体や漁協が静観する一方で、道内各地から駆けつけた市民団体は抗議活動を展開した。

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 午後0時27分。発射現場から約400メートルの高台から白煙が見えた。その直後に「ドーン」という爆音。肉眼では追えないほどのスピードでミサイルが沖合に消えていった。

 町によると、「地対空」のミサイル演習は1988年から行われてきた。年間で172日間。町と自衛隊は、太平洋に面した射撃場から半径40キロの扇形の海域を演習エリアとしてきた。今回の演習もそのルールの中で行われた。

 町の中心部は演習場から約8キロ離れている。発射時の騒音について、自衛隊から町に「これまでと同等かそれ以下のレベル」と事前説明があったという。

 「特に問題は起きていない。今回もこれまでと同様、演習の安全確保には万全を期してもらった」と樋爪旬・町企画課長は話す。

 地元漁協は漁が制限される期間の漁業補償を受けながら、演習に協力してきた。ある幹部は「自衛隊とともに歩んできた町。今回はミサイルの種類が変わったという認識だ」と打ち明ける。

 演習後、市民団体や労組など10団体、約40人が静内駐屯地前で抗議活動をした。道憲法共同センターの小室正範事務局長は、百数十キロの長射程のミサイル配備は、専守防衛からの逸脱だと指摘する。「台湾有事に際して、自衛隊が米軍の指揮下で実行部隊になることを危惧している。それは日本を守ることではない」

 月内に予定されている2発目の発射を中止するよう自衛隊に求めた。

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