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 グランピング施設やAI(人工知能)の研究開発拠点、せんべい工場――。少子化を背景に「廃校」となった公立の小中学校などが、さまざまな形で生まれ変わっている。ただ、この20年は年間440校のペースで廃校が生まれ、共通の課題に直面している。

 茶畑に囲まれてたたずむ、静岡県島田市の旧湯日小学校。かつての校庭には芝生が広がり、21棟のテントが並ぶ。一般的なドーム形に加え、愛犬と一緒に泊まれるテントも。2022年3月、廃校から約1年で開業したグランピング施設「Glamping&Port 結」だ。

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小学校の校庭があった場所に建てられたドームテント。奥の建物は校舎跡=2025年4月30日、静岡県島田市のGlamping&Port結、竹花徹朗撮影

 壁に校歌を掲げた図書室のホールがフロント。チェックインすると、テントの鍵を付けた「横断バッグ」を受け取る。静岡の小学生が使う定番の通学用バッグだ。体育館ではバスケットボールなどを楽しめ、夏は夜までプールで泳げる。理科・家庭科室では、試験管入りの抹茶アイスづくりを体験できる。学校の施設を丸ごと生かしたアクティビティーで人気だ。

 富士山静岡空港(静岡県牧之原市)からタクシーで約10分、東名高速の吉田インターから車で約15分。市と運営会社アイワコネクト(島田市)が月額3万3千円で20年間の賃貸借契約を結んだ。深沢一浩社長は「市内はビジネスホテルが中心で、ファミリー層が泊まれる施設は少なかった。観光宿泊施設にしようと考えたのがスタート」と話す。

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宿泊施設のフロントには校歌の歌詞が残る=2025年4月30日、静岡県島田市のGlamping&Port結、竹花徹朗撮影

 コロナ下にもかかわらず、初年度の客室稼働率は80%に達した。2年目以降も夏の稼働率は7割近い。愛知、東京、神奈川など県外からの客が約8割を占める。地域交流スペースでは、地元野菜などを販売するマルシェを定期的に開く。

 深沢社長には、小学校の卒業…

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