東アジアの仏教絵画の至宝とされ、1949(昭和24)年の火災で焼損した法隆寺金堂壁画の再現を目指し、20年以上も研究を続けるグラフィックデザイナーがいる。幼いころに金堂壁画に魅せられ、仕事の合間に古写真や模写などを分析し、火災で失われた山中羅漢図(さんちゅうらかんず)の復元図を描き続けている。夢は金堂が創建された当時の色鮮やかな壁画を再現することだ。
大阪市阿倍野区でデザイン事務所を営む松田真平さん(59)。幼稚園のころに祖母の家でガラスの額に入れて飾られていた金堂6号壁の観音菩薩(ぼさつ)像を見た。版画の複製だったが、その美しさに魅了された。小学5年のときに小遣いをためて高価な図録を購入。飽きることなく仏教壁画に見入った。
失われた「山中羅漢図」とは
壁画は金堂内の大小12の壁…