それぞれの最終楽章 父を看取って(5)
朝日新聞記者 佐藤陽
これまで、父が在宅生活が難しくなり介護施設に入ったこと、「あの世に行きたい」と頻繁に漏らすようになったこと、そしてキリスト教の洗礼を受け生きがいを得たことなどをつづってきた。
今回は、そんな父の98年の「人生史」を振り返りたい。
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父は1925(大正14)年、岩手県胆沢郡前沢町(いまの奥州市前沢地区)に、4人兄弟の次男として生まれた。家業は農家(庄屋)だったが、祖父は小学校の教師をしていた。
父が5歳になる前、祖父は白…