記者コラム「多事奏論」 編集委員・後藤洋平
4月下旬、東京都渋谷区で開催された性の多様性への理解を進める催し「東京レインボープライド(TRP)」に足を運んだ。今回、ルイ・ヴィトンやディオールなどを傘下に持つ世界最大のファッショングループ、モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン(LVMH)が初めてスポンサーに名乗りを上げ、ジャパン社の社長を先頭に社員や家族ら約250人がパレードに参加した。
高級ブランドや有名企業にとってサステイナビリティー(持続可能性)やトレーサビリティー(生産背景の管理)は「付加価値」から「必須の要素」に変わった。そして今、多様性への理解も同様の位置づけになってきたと感じている。
LVMHで多様な人材を受け入れ、能力を発揮させる取り組みの推進を統括するヴァネッサ・ムンガーさんによると、同社では、人事登録システムで社員が自らの性自認を選択できる仕組みがあるという。「従業員がよりよく生き、自分らしく表現することで創造性と革新を生み出し、ビジネスとしての成功をもたらす」と語り、「消費者から見て我々が多様性を体現できているかどうかも、ビジネスと密接に関連する」とも説いた。
今回のTRPは協賛団体数314、来場者数27万人、パレード参加者数1万5千人と様々な面で記録を更新した。外資系大手のほか、パナソニックや飲料メーカーのチェリオ、セガサミー、三井住友トラスト・ホールディングス、サントリー、NEC、イオンといった日本の大企業や経済同友会も協賛に名を連ねた。会場では、企業がブースで商品サンプルを配布する姿も多く目にした。
「『村祭り』だった頃を思えば……」
LGBTQの文化やコミュニ…