(4月13日、プロ野球 広島東洋カープ5―3読売ジャイアンツ)
最終回のマウンドに、広島の栗林良吏が立った。三つのアウトを取ると、仲間とハイタッチを交わす。昨季のリーグ覇者との今季最初の3連戦を、3連勝で締めくくった。
- 守備で得た主力の座 初の侍ジャパンで更なる飛躍を 広島・矢野雅哉
本拠マツダスタジアムでの巨人戦。広島ファンは苦い記憶もあるだろう。優勝争いをしていた昨年9月11日。守護神にとっては、悪夢の登板だった。2点リードの九回に登板し、1死も奪えず6失点。10日後に雪辱したものの、チームは浮上できずに終わった。
新たなシーズンでの初対戦は、くしくも同じ2点リードで登板した。普段通り、ベンチを出ると、帽子を取って一礼してグラウンドへ。「打線が優位に進めてくれたので、何とか勝ちで終わるぞという気持ちだった」
先頭の吉川尚輝に中前安打を許し、無死一塁で岡本和真を迎える。「一発で同点もある。でも、打者と対戦することには変わらないので、練習してきたことを出すように意識した」。遊直に抑えると、最後は遊ゴロ併殺に仕留めた。
打者3人に対し、すべて初球はストライクで入った。「まっすぐでストライクを取れた。そこをもっと自信を持って継続したい」。納得の投球だった。
オフに右ひじの手術も経た右腕にとって、あの日はもう、過去のこと。「ジャイアンツに負けたことは違いないけれどジャイアンツに勝ったから優勝できるわけではない。対戦相手より、目の前の打者に集中していく」。勝っておごらず、負けを引きずらず。それが、クローザーの矜持(きょうじ)だ。
森(広) 6回被安打5で3勝目。「本当に野手の方々に感謝です。何とか粘って投げようと思った。まだまだ投げたいので、もっと頑張ります」
新井監督(広) 各球団と1巡目の対戦を終えて首位。「けが人が出ているけれど、若手が頑張っている。『よし、やれるぞ』と感じてくれていると思う」
阿部監督(巨) ヘルナンデスの後逸などミスも響いて3連敗。「エラーをしようとしてやっているわけじゃない。必死の中でやっている。本人が一番反省している」