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曽祖父の被爆体験をもとにした自身の平和活動を踏まえ、「自分の発信方法を見つけてほしい」と中学生らに語りかける原田晋之介さん=2025年3月15日午後、長崎市、小川崇撮影
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 「継承と聞いて、どのようなものを連想されるでしょうか」

 3月15日、長崎市の観光地として知られる稲佐山付近のホテル。高校生として最後の講演に臨んだ原田晋之介さん(18)は、平和学習で訪れた京都の中学2年生ら約150人を前に、こう問いかけた。

 原田さんは、広島と長崎で2度被爆した「二重被爆者」の山口彊(つとむ)さん(1916~2010)のひ孫で被爆4世にあたる。

 三菱重工業長崎造船所の設計技師だった曽祖父は、1945年8月6日、出張先の広島で原爆に遭い、大やけどを負った。妻子が待つ長崎に戻り、8月9日に再び被爆。90歳で証言活動を始め、国連など国内外で核兵器廃絶を訴えた。

 活動を受け継ぎ、紙芝居を使って山口さんの被爆体験を伝えたのは、その孫で、原田さんの母・小鈴さんだった。

 小鈴さんの活動を見て育ち、原田さんも小学5年生のときから、自ら紙芝居を上演するようになった。母子で山口さんの体験に関する講演を何十回と重ねてきた。

 だが、今回の高校生最後の講演では、曽祖父の体験ではなく、「継承」をテーマに自身のことを中学生たちに語った。

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