広島県廿日市(はつかいち)市の冠(かんむり)遺跡で出土した旧石器時代の石器群が、放射性炭素(C14)年代測定で4万2300年前のものと判明した、と奈良文化財研究所の国武貞克主任研究員らの研究チームが明らかにした。国内最古と評価される石器より古い可能性があり、日本列島に人類が到達した時期の解明に影響がありそうだ。
冠遺跡は、山口県境に近い中国山地の冠高原(標高800メートル)にある。1960年以降、広島大などの調査で石器類が採集されていた。
国武さんらが昨年9月に約30平方メートルの未調査地点を発掘したところ、約3万年前の南九州で起きた噴火による火山灰の下にある4時期の層から、多数の石器が出土した。このうち最下層で見つかった炭化物を放射性炭素年代測定で調べると、約4万2300年前という結果が出た。
最下層の石器は376点。先端をとがらせた「尖頭器(せんとうき)」や、平らな刃があり持ちやすく加工した「クリーバー」と呼ばれるものなどがあり、ノコギリの刃のような加工も施されていた。こうした形状は中国など大陸の遺跡で出土する古い時期の石器の特徴という。
旧石器時代の研究は、200…