（24日、第97回選抜高校野球大会2回戦 広島商6―2東洋大姫路）
広島商の二枚看板の左腕投手が、底力を見せた。
立ち上がりの初回、死球で東洋大姫路（兵庫）の2番打者に出塁を許したが、4番打者を3球三振に仕留めて攻撃を封じた。
二回表、1死満塁の好機で打順が回ってきた。徳永啓人投手（3年）はスクイズの構えを見せ、ストライクを見送る。「次は自信のある真っすぐを投げてくるだろう」。狙っていた直球を振り抜き、右前適時打で1点を先制した。
打線はその後、中本拓志選手（2年）の内野安打で1点を加え、続く1番打者の西村銀士主将（3年）の走者一掃の三塁打などで、この回6点を奪った。
相手は優勝候補にも挙げられた強豪。阪神甲子園球場の地元、兵庫の学校でもあり、試合はアウェーの雰囲気になる。そんな試合の先発を任されると、要所を締める投球で強打線を沈黙させた。
昨年秋の広島県大会で初登板。優勝した中国大会では全4試合を投げ、信頼を得た。明治神宮大会でも準々決勝で、東海大札幌（北海道）を相手に8回無失点に抑えた。荒谷忠勝監督は「秋は彼の頑張りで、明治神宮大会に連れて行ってもらった」と評する。
この日は好守にも助けられ、7回を投げて被安打4、奪三振6と、相手を勢いに乗せなかった。試合後、「直球で押すことができ、低めのボールも決まった」と笑顔で振り返った。
選抜出場が決まった直後、「チームで一番信頼される投手になりたい」と意気込んでいた背番号10。「高めに抜ける球があったが、次も一球一球集中して、全員で一戦必勝で頑張りたい」と語った。
