スタンドへ向けてあいさつする広陵高校の選手たち

 日本学生野球協会は4日、審査室会議を開き、広陵高(広島)のコーチ(52)に不適切指導と報告義務違反があったとして謹慎3カ月の処分にしたと発表した。

 協会によると、コーチは4月23日、寮の見回りをしていた際、廊下で騒いでいた2年生部員を約1分間正座させ、口頭で指導した。正座させたことが不適切な指導に当たると協会は判断した。

 広陵は、部内の暴行事案などを理由に、今夏の第107回全国高校野球選手権大会(朝日新聞社、日本高校野球連盟主催)の途中で出場を辞退した。一連の問題を受けて8月20日に実施した1、2年生部員へのアンケートで、今回の不適切指導が発覚したという。

 このアンケートでは、暴行事案などへの部員の関与が確認されなかったとして野球部は対外試合を再開している。学校側は取材に対し「正座は懲罰ではなく、指導の一環。生徒を落ち着かせるためだったが、ふさわしくない対応だった」と説明した。

不祥事に対する日本高野連の対応は

 日本学生野球協会が4日、審査室会議を開き、高校の不祥事に対する処分を決めた。

 高校野球の活動は日本学生野球協会が定める「日本学生野球憲章」に基づいて行われている。

 部内で暴力や犯罪行為などの不祥事があると、学校は各都道府県の高校野球連盟を通じて日本高校野球連盟に報告。日本高野連は報告をもとに、外部の弁護士も入る審議委員会を開く。「注意」「厳重注意」などの措置は日本高野連が行い、対外試合禁止や指導者の謹慎などの処分が必要と判断した場合は、日本学生野球協会の審査室会議に上申する。

 法令や「学生野球の基本原理」に反しているかどうかが主な判断基準になる。

 日本高野連の宝馨会長は8月、不祥事の報告について「年間1千件以上になる」と話した。不祥事の内訳は明かしていないが、指導者や選手間の暴力、暴言だけでなく喫煙、飲酒、ハラスメント、SNSを使った不適切な行為などがある。

 外部の指摘などで不祥事を報告していないことが判明すれば、原則、指導者は「報告義務違反」で最低1カ月の謹慎処分を受ける。そのため、軽微な事案でも報告することで件数が多くなっている、という背景がある。

 1946年に制定された日本学生野球憲章は、時代とともに改正が繰り返し行われてきた。

 かつては部員1人の不祥事でも対外試合禁止になるなど、部全体への「連帯責任」の色も濃かったが、今年4月、不祥事案に関係のない部員に不利益を科さないための運用内規が設けられた。

 違反部員数が4人以上または部員総数の20%以上の場合は「注意・厳重注意」、違反部員数が10人以上または部員総数の50%以上は「対外試合禁止」とした。

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