第107回全国高校野球選手権大会(朝日新聞社、日本高校野球連盟主催)の出場を途中辞退した広陵高校(広島市)は21日、硬式野球部の中井哲之監督が退任すると発表した。今年3月、日本高野連から「厳重注意」とされた暴行事案については、学校が確認した内容と生徒側の訴えに食い違いがあることから、同校は第三者委員会などを立ち上げて再調査するとしている。
広陵の説明によると、20日付で退任した中井監督の後任は、同校卒業生で硬式野球部の松本健吾コーチが務める。中井監督の息子が務めていた野球部の責任教師(部長)も別の教員に交代する。
中井監督の後任が内部からの起用となったことについて、広陵は「外部からの登用は時間的に難しかった」と説明している。
また、広陵は出場辞退以降、1~2年の部員約100人にアンケートと聞き取りを実施した結果、暴行事案などへの関与は確認できなかったとして、対外試合などの活動を実施するとした。広島県高野連も了承し、広陵は秋の県大会地区予選へ出場する。
広陵では今年1月、寮で禁止されているカップラーメンを食べたことを理由に、1年生のほおや胸をたたいたり胸ぐらをつかんだりした暴行事案があったとして、日本高野連が3月に同校を厳重注意した。
被害生徒は3月に転校したが、被害生徒の保護者は「学校が確認した事実関係に誤りがある」と学校に訴え、5月まで協議を継続。学校側の調査では暴行行為に関わった上級生が4人だったのに対し、暴行に関する情報が広まったSNS上では「10人以上」とされ、学校の調査では確認できなかったとした暴言も指摘された。
こうした暴行事案に加え、硬式野球部の体質の問題について指摘を受けているとして、抜本的改革を目指すため、外部の学識経験者などからつくる「学校改善検討委員会」も設け、学校運営に反映させるという。
広陵をめぐってはこのほか、2023年に寮内で1年生の部員が数人の部員から下半身を触られたり、中井監督やコーチ陣からも暴言や暴力を受けたりしたなどと学校に訴えている。学校は調査の結果、確認できなかったとして、今年6月に第三者委員会を設置している。