古谷さん夫婦=2025年2月18日午後4時22分、石川県輪島市三井町、小崎瑶太撮影

 「のと里山空港」(石川県輪島市三井町)の駐車場に設けられている仮設飲食店街「NOTOMORI」。被災した飲食店などが並んでいる。オレンジ色の外観が目を引く郷土料理屋「御食事処まだら館(やかた)」には、都内に避難している子供たちを見守りつつ、全壊した店の味を守る夫婦の姿があった。

 1971年創業。輪島市河井町の朝市近くで、民芸品の販売もしていた。輪島で歌い継がれている「輪島まだら」から店名を取った。

 店主の古谷泰晴さん(48)は、金沢市内の飲食店で修行。妻の美紀さん(47)の出産を機に、父親から店を継いでから20年以上になる。いまは夫婦で店を営む。

里山里海定食(2650円)。現在果物は提供していない。写真は震災以前のもの=古谷美紀さん提供

 人気は海鮮丼や定食、そして郷土料理のイカのいしる(魚醬(ぎょしょう))を使った鍋。震災前は、昼は朝市の観光に来た人たちが、夜は宴会のために使う地元の人たちが集まる、活気あふれる店だった。

 そんな日常は、2024年元日の能登半島地震で壊れた。

全壊した店=石川県輪島市河井町、古谷美紀さん提供

 木造2階建ての店は、2階の…

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