福島県川俣町の廃校でコーヒーを楽しむ「ジャパンコーヒーフェスティバル2024」が22日から始まる。近畿大学(大阪府東大阪市)の学生が誘致を提案したイベントで、盛況だった昨年に続き2回目。学生らは「地域に根づくイベントに」と今年も広報や当日の運営を担う。

 川俣町は東京電力福島第一原発の事故で一部地域に避難指示が出た。指示が解除されて7年半が経った今も400人以上が町外に避難する。

 近畿大は事故直後から除染や特産づくりなど町の復興支援に関わっており、4年前から観光分野での支援も始めた。経営学部の金相俊教授(地方創生論)のゼミ生らが現地を何度も訪れ、人の呼び込み策を探った。

 2022年、町内の小学校4校が廃校になったことから、増田穂乃香さん(21)が「廃校でコーヒーのイベントができないか」と提案。関西の過疎地を中心にコーヒーイベントの実績がある団体に話を持ちかけた。学生らはSNSで告知したり、コーヒーを配布しながら宣伝したり。初開催の昨年は3日間で約1500人が訪れ、地元住民から「静かな町ににぎわいが戻った」と好評だったという。

 増田さんは「コーヒーをドリップする間に客同士や出店者らで会話が生まれる。町の住民の温かさに触れ、『また来たい』と思ってもらえる」と手応えを感じた。イベントを地域に定着させるため、ゼミではしばらく運営に関わるつもりだ。

 今年は、旧飯坂小学校を会場に22日午後3時~同7時、23、24両日の午前10時~午後5時に開催。県内のほか東京や関西から出店した16店で、ミャンマー、ブラジル、エチオピアのコーヒーを飲み比べることができる。近畿大学生22人も23、24両日に2店を出し、売り上げを東日本大震災で被災した子どもらを支援する基金に寄付する予定。

 テーマは昨年に続き「童心」。各教室に販売ブースがあり、学校にあった机や椅子がそのまま使われる。入場無料。当日の3枚券は1800円。問い合わせは「日本コーヒーフェスティバル実行委員会」(090・1140・5675)。(酒本友紀子)

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