福島県中部にある鏡石町の企業が廃物利用で造ったブリキのロボット。名付けて「イットカン(一斗缶)ロボ」が、大阪・関西万博で展示された。中身は空っぽの空き缶ロボが最先端の科学技術を見せる万博に登場できたのは、その風貌(ふうぼう)の力だった。

 サトウ精密工業は塗装の会社だ。内視鏡の操作部分やテレビカメラのスイッチ、地下鉄の非常ボタンなどさまざまな塗装を手掛けてきた。

 仕事柄、ブリキ缶に入った塗料やシンナー溶剤を大量に使う。空になると専門業者が引き取って、潰して溶かして再生する。しかし、溶かすにはエネルギーが必要だ。「環境負荷を減らすために再利用できないか」と佐藤真基(まさき)社長(55)が思いついたのが、色を塗って雑貨として売り出すことだった。

 2023年8月、メルカリで…

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