高千穂鉄橋を渡る高千穂あまてらす鉄道の「グランド・スーパーカート」=2024年12月12日午後、宮崎県高千穂町、ドローンで筋野健太撮影

 「高い所が苦手な方はしばらく我慢してください」。運転士の声が渓谷に響く。地上105メートルの橋の上から飛ばされた無数のシャボン玉がきらきらと光り、消えていった。

 天孫降臨の神話の里、宮崎県高千穂町。九州山地に囲まれた深い渓谷に、鉄橋として高さ日本一の高千穂鉄橋が架かる。その上を、開放感いっぱいの観光鉄道車両「グランド・スーパーカート」が走る。

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 運行するのは「高千穂あまてらす鉄道」。2005年9月の台風14号で被災し、廃線になった高千穂鉄道高千穂線(延岡―高千穂)を引き継いだ。鉄道車両の顔をした動力車は、空港で荷物などを運ぶトラックを改造した。軽油やバイオディーゼル燃料で動き、最高時速35キロ。途中通過する二つのトンネルでは、ミラーボールを使った社員手作りのイルミネーションが天井を彩る。橋上では約5分間停車し、運転士がシャボン玉を飛ばす。定員は60人で、旧高千穂駅から高千穂鉄橋までの往復約5キロの道のりを、30分かけて楽しむ。

「必ず復活させる」

 同社で唯一、運転士として旧…

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