端島のマンションの一角で隣り合う、鉄平(神木隆之介さん=右)と朝子(杉咲花さん)=第6話から ©TBSスパークル/TBS

 高度経済成長を支えた長崎県の端島(軍艦島)と、現代の東京を舞台にした日曜劇場「海に眠るダイヤモンド」(TBS系、日曜午後9時)。過去と現在をつなぐ壮大なスケールと繊細な人間描写が話題を呼ぶ作品は、12月22日の2時間SPでついに最終回を迎える。炭鉱の島に息づく人々の記憶を丁寧に織り込んだドラマが、問いかけるものとは。

  • 【朝日新聞写真館】1956年の軍艦島 島全体が大きな家族だった

 朝日にきらめく無人島が、鉄筋コンクリートの建物がひしめく昔日の「海上都市」へと徐々に姿を変えていく――。ドラマの初回、精巧な大規模セットとVFXの技術によって1950年代の端島が画面によみがえると、「再現度がすごい」「まるで映画!」とSNS上で感嘆の声が広がった。

 周囲1・2キロの島内に最盛期は約5千人が暮らしたという端島は、高層住宅や学校、映画館などが所狭しと並び、「日本社会の縮図」と言われた。海底炭鉱の採掘のため全国各地から人が集まり、その人口密度は当時の東京のおよそ9倍。島全体が一つの家族であるかのような暮らしぶりは「一島一家」とも称された。だが、国の政策転換による石炭から石油への「エネルギー革命」の影響もあり、1974年には炭鉱が閉山。島民は一斉に退去して無人島となった。

 ドラマは、かつて端島で暮らした女性、いづみ(宮本信子さん)のこんな独白から始まる。

 「戻れない、あの島。今はもういない人々。いとしい人の思い出はすべて、あの島へ、置いてきた」

 「軍艦島上陸ツアー」のフェリーの船上で、いづみはこうもつぶやく。

 「(端島は)廃虚なんかじゃない」

伝えられてこなかった「等身大の端島」

 戦後の端島の記憶や表象を研…

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