常葉大菊川―聖光学院 十一回裏聖光学院2死満塁、仁平を右飛に打ち取り、声を出す佐藤大介=滝沢美穂子撮影

 (22日、第97回選抜高校野球大会1回戦 常葉大菊川3―4聖光学院)

 1点リードの延長十一回裏、無死一、二塁から始まるタイブレーク。好投した大村昂輝投手(3年)を救援し、左翼で出場していたエースの佐藤大介投手(2年)が公式戦初のマウンドに立った。

 「びびることなく、全力で立ち向かおう。楽しもう」と自分に言い聞かせたが、相手打者はボール球を慎重に見極めてきた。四球で満塁。主将の橘木千空一塁手(3年)からの「全力で投げてこい」という声が耳に入り、切り替えるしかないと打者に集中した。

 左中間への適時打で同点とされ満塁が続くが、「真っすぐが来ていたので思い切って配球した」と町田稔樹捕手(3年)。そのミットを信じ、「次を抑えればチャンスがある」と投げ込んだ。強肩の外野陣もエースをもり立て、飛球を好返球し、得点を許さなかった。常葉大菊川の「攻めの守備」に支えられた。3アウト目も右飛に打ち取り、何度も力強くこぶしを握った。

 十二回裏1死一、三塁。甘く入ったカーブが中堅への犠飛となり、サヨナラの走者が生還した。

 昨年は入学後まもなく手首にけがをし、秋まで試合に出られなかった。投げられない間に体作りに努め、東海大会準決勝、決勝の2試合で、5安打2打点と野手として躍動した。選抜では背番号1を背負い、「絶対にチームを勝たせる」と決意したが、かなわなかった。

 試合後、大村投手に「夏もある。悔しさをばねにして、切り替えて頑張れ」と声をかけられた。「簡単に外野に運ばれないように、威力ある真っすぐを夏までに磨く。チームを勝たせる投手になって、必ず甲子園に戻って、悔しさを晴らしたい」

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