109校107チームが参加した静岡大会は、聖隷クリストファーが春夏通じて初の甲子園出場を決め、熱戦が幕を閉じた。好投手による引き締まった接戦が目立った。
聖隷は、伸びのある直球と多彩な変化球を操る左腕・高部と、打たせて取る投球が持ち味の右腕・上田の二枚看板で勝ち上がり、6試合でわずか失点3。4回戦までコールド勝ちで進み、準々決勝からは接戦を制した。母校の浜松商と掛川西を春夏計8度の甲子園に導いた上村敏正監督(68)は、昭和、平成、令和の3元号での甲子園出場を決めた。
準優勝の静岡はエース吉田を軸に、安定した投手力や堅守が光った。昨夏の準決勝で聖隷に敗れて以来掲げてきた「繫(つな)ぐ」のテーマの通り、決勝でも少ない好機から1点をもぎ取った。
シード16校のうち11校が16強入り。ノーシードの富士東は浜松商などを破る快進撃で、41年ぶりに8強入りした。
藤枝明誠は勝負強さを発揮し、ノーシードから唯一4強入り。強豪校が集まった〈Ⅲブロック〉では、東海大静岡翔洋が選抜出場校の常葉大菊川との接戦を制すなどして4強に進んだ。
今春、浜北特支が特別支援学校として静岡県高野連に初めて加盟。熱海、佐久間との連合チームで静岡大会に初出場し、新たな風を吹かせた。
好投手がそろった今大会の本塁打数は12本で、昨年の27本の半分以下にとどまった。一方、延長タイブレークの多さが目を引いた。1回戦から準々決勝までの11試合に及び、昨年の3試合を大きく上回り、実力が拮抗(きっこう)していることを感じさせた。
高校では優勝報告会 在校生が拍手で迎える
浜松市中央区の聖隷クリストファー高校では28日夕、静岡大会優勝の報告会が開かれた。在校生が選手たちを大きな拍手で迎えた。
生徒代表の笹田陽和(ひわ)さんは「私たちにとって皆さんの努力と勝利は大きな誇りであり、勇気を与えてくれた。甲子園という夢の舞台で楽しんできてください」と激励した。
野球部の逢沢開生主将は「熱い声援をありがとうございました。ふだんの生活から先生方や生徒の皆さんからかけられた言葉が、選手たちの励みになりました。甲子園では、聖隷の野球ができるよう、皆さんへの感謝を胸に全力で戦い抜きたい」と語った。