外壁などがはがれているマンション=2019年、滋賀県野洲市

 川崎市にある小田急線・柿生駅から徒歩15分ほどの閑静な住宅街にある分譲マンション。全19戸で築30年ほどを迎える。このマンションでは3年前に1度、「将来の建て替え」を検討した。

 きっかけは2回目の大規模修繕工事が控えていた理事会だった。40代の住民から「テラスハウス型で、一般的な設備ではないため、修繕費用がかさむ。将来に向けて建て替えも検討すべきでないか」との意見が出た。

 管理組合が専門業者にシミュレーションを依頼すると、建物を解体して、新たに建て直すには約9億円が必要と算出された。19戸で割ると、1戸あたり約4740万円になる計算だ。

 「これほど高価とは」と、70代の男性理事長は驚いた。住民は60代前後が中心で、年金暮らしも多い。「建て替えなんて絶対無理だと感じた」

 より高い建物を建てることも…

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