20年ごとに社殿などを一新する、2033年の第63回式年遷宮に向け、伊勢神宮(三重県伊勢市)で9日、ご神木をそりに載せて内宮近くの五十鈴川を「川曳(かわびき)」し、約3時間かけて内宮の五丈殿に運び入れる「御樋代木奉曳(みひしろぎほうえい)式」があった。
御樋代木とは、遷宮行事で最初に切り出された最も神聖な用材とされ、ご神体を納める「御樋代」に使われる。長野・岐阜両県の木曽山中で切り出された樹齢約300年のヒノキで、直径約50センチ、長さ約6.6メートル、重さは約1.5~2トンに上る。
遷宮の準備を担う「神宮式年造営庁」の職員ら100人超がすげ笠に黒い法被姿で、内宮用の3本を1本ずつ計3台のお木曳(きひき)ぞりに載せて川曳した。背中には白く染め抜かれた「太一(たいいつ)」の文字。最高の神の持ち物を意味するという。
腰まで五十鈴川につかりながら「エンヤ、エンヤ」。引き手は声を合わせ、ご神木を引いた。午後4時ごろ、宇治橋を越えるころには雨脚が強まり、中には胸近くまでつかる引き手も。先頭の2人は背丈の倍ほどの長い木で深さを探りながら、慎重に川の中を誘導した。