俳句時評 岸本尚毅

朝刊歌壇俳壇面で月1回掲載している、俳人・岸本尚毅さんの「俳句時評」。今回は、『語りたい俳人 師を語る友を語る』を取り上げ、弟子や句友が句を語る意味を考えます。

 董振華(とうしんか)編『語りたい俳人 師を語る友を語る』(上下巻、コールサック社)は、一九八○年以降に逝去した俳人二十四人を取り上げ、その弟子や句友の談話をまとめたもの。作家論として、また俳壇のオーラル・ヒストリーとしても興味深い。

 俳句はわずか十七音。作品の読みは読者に大きく依存する。その点、弟子や句友が句を語るときの作者と読者との近しさは、俳句を深く鑑賞する上で有利な条件である。

 たとえば、飯島晴子の〈月光…

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