カナダ政府が設置した調査委員会や情報機関が5月、中国がカナダの選挙に介入していると指摘しました。ブリンケン米国務長官も4月に米CNNのインタビューで、中国が今後の米国の選挙に介入しようとしている証拠を確認したと指摘しました。カナダでも研究活動を行っている日本国際問題研究所の桑原響子研究員は、日本の市民社会がこうした問題に、より主体的に取り組むべきだと指摘します。
――中国のカナダに対する働きかけとは。
カナダは本来、対中国政策には慎重でした。中国系カナダ人が全人口の約5%を占めて、中国の市場はカナダ企業にとって重要な存在です。
ただ、ロシアが2016年の米大統領選に介入した問題を契機に、米国の隣国であるカナダも他国による内政干渉に敏感になりました。18年に中国がカナダ人2人をスパイ容疑で逮捕したことが、カナダ政府の対中姿勢を硬化させ、世論の対中感情が悪化する転機になりました。
23年には、中国によるカナダへの干渉疑惑に関する情報機関の機密報告書が何度もリークされて報じられたことから、対中警戒感が強まりました。内容は、19年のカナダ総選挙を巡り特定の候補者に資金提供をしていた疑惑、21年総選挙でタカ派の保守党を倒すために中国が組織的な活動をしていた疑惑などです。
カナダ政府も23年5月、保…